穂別だるまいもについて
だるまいもの出荷は、実は二年越しです。まず一年目は、「むかご」と言われるビー玉程度の種を植え、一年かけ地中で育った約10㎝くらいの「種芋」を、次の春にまた畑へ植え、さらに一シーズン育てて、ようやく皆さんにお届けできるだるまいもになるのです。
中澤農園がだるまいもをつくりはじめたのは、三代目由幸の代。「こだわった農産物づくり」ということで、土づくりにこだわっていた由幸へ、種苗屋さんが「これから品種登録をする試験段階」というこのだるまいもを紹介してくれ、試しに育ててみたところ非常に美味しくできた。そこで由幸は、自身の土づくりと、だるまいもというこだわった新しい品種の長芋で、世の中に美味しい長芋を届けていきたいと展望した。平成の初期、携帯電話でのインターネット接続がようやく始まったような時代に、インターネットを活用した販売もスタートさせた… というのがはじまりです。また、だるまいもは保管にも適しており収穫後一年保ち、通年販売が可能な作物。穂別のJA には「雪室(ゆきむろ)」という、雪を倉庫に入れその冷気で保存しておける施設があり、わたしたちはそこで春から秋までだるまいもを保管、静かに熟成させています。雪の恩恵で、飲食店や個人のお客さんに一年を通じてだるまいもの提供ができています。
わたしたちは、だるまいもの美味しさを決める秘訣として2つのことを大切にしています。
まずひとつめは『肥料を与えすぎないこと』。「自然と同じ状態に整ったミネラルバランス」と、「与えすぎない適切な肥料量」にてしっかりと土づくりを行うことが、品質を決める上でとても重要です。特にだるまいもの根っこは、肥料を吸う機能が浅く地際30cm に多く分布しており、だるまいも本体である芋の部分は肥料分を吸わないので、肥料の撒き方・与える肥料を工夫しながら栽培しています。
そしてもうひとつの秘訣は『収穫時期を見極めること』。成長したツルや葉っぱが、秋になり黄色く紅葉し枯れた状態になるまでじっと待ってから収穫します。紅葉し枯れることで「しっかりと栄養を芋に移行」させる。それによりだるまいもに未消化の栄養素がない「成熟した状態」で収穫できるのです。成熟した芋であれば、とろろにした時に赤や黒といった変色がしづらくなります。わたしたちのだるまいもは「白いままのとろろ」に定評がありますね。芋がしっかり成熟したということなのです。
中澤農園は11月上旬と4月中旬の2回の収穫で約5万本のだるまいもを収穫します。11月は雪がちらつくなか、朝の気温はマイナス5℃、霜柱が立っています。冷たい土の中から機械でざっくりと掘り出したあと1本1本みんなで手で拾い上げていきます。足も手もかじかみなかなか大変な作業ですが、立派に大きく育っただるまいもをみると元気が出ます!立派に育った分、すごく重たく大きいもので1本2kg。それを一度に5本持ち上げ続ける、収穫作業は筋トレのようです。
11月上旬の「秋掘り」はしゃきしゃきとした瑞々しさが特徴で、4月中旬の「春掘り」はひと冬畑の雪の下で熟成したこともありクリーミーなとろろになるのが特徴です。1年を通じて楽しめる、刻々と熟成していくだるまいも。ぜひ味わってみてくださいね。
収穫時期: 11月上旬、4月中旬
販売時期: 通年(季節によって変わる熟成度をお楽しみください)
特記事項: 冬季は畑の雪の下で、雪のない季節は雪室で、と一年通して雪に守られ成熟しています。