中玉とまとについて
「Ms. 浅野のけっさく」という一風変わった品種名の中玉とまとを育てています。このとまとを年間10t以上生産していて、その大半は東京の仲卸業者さんが買い付けてくれ、そして都内のスーパーへと販売されていきます。
わたし和晴は小学生の頃から、学校へ行く前の毎朝6時頃からとまとやきゅうり・メロンの収穫を手伝うのが日課で、朝の作業終わりにもぎたてのとまとを頬張るのが好きでした。農家の跡継ぎとなることを決めて徳島県で有機農業を勉強していた際も、北海道へ帰ったらとまとを作って販売しようと決めていました。いざ、親元で就農し栽培を始めてみたものの、この穂別の地域ではとまと栽培は自家用程度で、農協もとまとを扱ってはいませんでした。作ったはいいが売り先はなく、栽培作業だけでも大変なのに、作って売れなければ何の意味もない…そう気がつきましたが技術力を高めることに必死で、翌年も栽培を続けたが取引を口約束していた業者から「とまとが市場に溢れているから、おたくのとまとは引き受けられないわ」と断られてしまい。度重なる失敗に、わたしはすっかり自信を喪失してしまいました。
20代前半で、「農」をなりわいにする農業にとって大きな気づきを得ました。「生産しても売れなきゃ意味がない」。そんな至極真っ当な事、頭ではわかっていたもののまだまだ未熟だったわたしはそれからも自分の栽培技術の向上だけを続けていました。しかし、販売できなければそれは農業とは言えず、大きな家庭菜園でしかありません。当時は相当な自信喪失に陥っていましたが少しずつ改善を計っていきました。その後に現在取引している東京の仲卸業者さんと縁があり、安定的に販売出来るようになり、今の品種に落ち着いています。
まだまだ納得のいくとまと作りには到達していないですが、とまと栽培の奥深さを感じます。いかにして安定して美味しいとまとを育てることが出来るのか。四代目中澤農園では夏から秋にかけて収穫できるよう栽培していますが、夏のとまとは味を乗せていくのが難しい。気温が高いほど、赤く熟すスピードが早く甘みは薄くなっていくためです。対して秋の涼しい気候のとまとはゆっくり熟すため甘みを蓄えていきます。ただ北海道の冬が急激に迫ってくるので、ゆっくり熟している途中に気温が0℃以下になり、とまとの木が死んでしまうこともあります。
今後は、より研究を重ねて栽培技術を高め、糖度8度以上のとまとづくりを目指します。沢山の人に喜んでいただけるとまとを育て、「とまとで自信喪失してとまとに自信をつけてもらった」と皆様に報告できるような未来がそう遠くなうちにやってくるよう頑張っていきたいと思います。
収穫時期: 8月〜10月上旬
販売時期: 同上
特記事項: こちらの中玉とまとを樹上でしっかり完熟させてつくった「樹上完熟とまとジュース」を毎年500本限定で販売中